1.迷惑メールが送られてくる仕組み
迷惑メールには様々な種類があり、以下のような目的で送信されてきます。この中でも現在は出会い系やアダルト関係業者の宣伝が多いようです。
- ダイレクトメールのようにある商品やサービスの宣伝のため
- フィッシング(インターネット上の詐欺の手口の一種)を仕掛けるため
- 盗聴ソフトウェアをPCに忍び込ませたり、ウィルスを感染させるため
- いたずらや何らかの実験のため
このように迷惑メールが送信される理由は様々ですが、一つ共通していることがあります。それは、どんな迷惑メールであれ、メールアドレスを知らなければ我々の元に送りつけてくることはできないということです。
言い換えれば、我々が迷惑メールを受け取っているということは、迷惑メール送信者に我々のメールアドレスを知られてしまっているということです。
では、迷惑メールの送信者はどのようにメールアドレスを知ったのでしょうか? 実態はそうした人たちに直接聞いてみなければわかりませんが、例えば私のメールアドレスが知られたとしたら下記ような方法を取ったと考えられます。
- 私がホームページに掲載しているメールアドレスを見た
- 私の名刺に記載しているメールアドレスを見た
- 私がアンケートサイトで記入したメールアドレスを見た
- 私とメールをやり取りした人のアドレス帳を盗み見た
- 誰かが上記手法で集めたメールアドレスリストを、お金を出して購入した
現実的には一番上に挙げた、ホームページから私のメールアドレスを取得した可能性が最も高いと考えられます。なぜなら、その方法が最も手軽に多数のメールアドレスを収集できるためです。
また、一番下の項目のように、集められたアドレスが売買されているのも事実のようです。この場合も、アドレスを売る人は、やはりホームページからメールアドレスを収集したものを売っていることが多いと考えられます。
実際、私はいくつかのメールアドレスを使用していますが、他のものに比べてホームページに掲載したものには頻繁に迷惑メールが送られてきています。
2.ホームページからメールアドレスを取得するのが簡単な理由
メールアドレスをホームページから収集しようと思えば、yahoo!やgoogleなどの検索サイトから適当にいろんな人のホームページを見に行ってそこに書かれているメールアドレスを探す、という方法が考えられます。
これをわざわざ人間が手で行わなくても、ソフトウェアで自動的に行うことができます。それがメールアドレス収集ソフト(収集ロボット)と呼ばれるものです。ソフトウェアで自動収集するわけですから、寝ている間に大量のメールアドレスを集めてきてくれます。
この「メールアドレス収集ソフト」という言葉をgoogle検索にかけると、実際にそうしたソフトを販売している業者がいくつかあることもわかります。
プログラミングができる人であれば、こうしたソフトを購入しなくても自分で作ることもできますし、おそらくもっと調べれば無料ソフトもあるかもしれません。
3.メールアドレス収集ソフトへの対抗策
ホームページにメールアドレスを公開すると、メールアドレス収集ソフトによってメールアドレスを取得され、迷惑メールのターゲットにされてしまいます。ですから迷惑メールを送られたくなければ、ホームページにはメールアドレスを公開しないことが一番です。
しかし、ホームページを見に来てくれた人から意見や感想をもらいたいことがあると思います。企業であれば商品を販売したりユーザサポートのためにメールアドレスを掲載したいと考えるでしょう。
もちろん、CGIで連絡フォームや掲示板を作成することで代用はできますが、そちらにもまた別の問題がありますので、人によってはメールアドレスを公開することを選択せざるを得ないこともあります。
ホームページにメールアドレスを公開する際に、メールアドレス収集ソフトによってメールアドレスを収集されることを防ぐ方法がいくつかあります。メールアドレス収集ソフトは、機械的にホームページからメールアドレスと思われる文字列を集めてきます。このため、例えばメールアドレスを画像ファイルの中に示すことで、メールアドレス収集ソフトに対抗することができます。
ただし、こうした対抗策のいくつかは、ホームページを見に来た人にとっては不便なものになります。例で示した画像化する方法では、メールアドレスをコピーすることができないため、閲覧者は自分でメールアドレスを打ち込まなければなりません。これはキーボードにあまり慣れていないユーザには不便ですし、気軽に感想を送ろうとした人のやる気を損なうかもしれません。
また、いくつかの単純な対抗策の場合、少し能力の高いメールアドレス収集ソフトには効果がないこともあります。
ですから、メールアドレス収集ソフトへの対抗策を施してメールアドレスをホームページに掲載する場合、利用者の使い勝手と対策効果の両面を考慮する必要があります。
また、手間がかかる対抗策や技術的に難しい対抗策を施してしまうと、将来的に問題が起きる可能性もあります。特に、企業のホームページのように将来的に自分以外の人がそのホームページの更新を行う可能性が高い場合などには、注意が必要です。
4.メールアドレス収集ソフトへの対抗策の効果
前の項で、メールアドレス収集ソフトへの対抗策を実施する場合には、利用者の使い勝手と対策効果のバランスを考える必要があると述べました。このバランスを考えるためには、使い勝手と対策効果について何らかの指標が必要になりますが、あまりこうした調査はなされていないようです。
そこで、当サイトでは、まずそれぞれの対抗策の実際の効果を実験により調査してみることにしました。